五銖銭 銖上星文

 五銖銭の鋳銭工員による手替わり銭貨のなかには、「星文」を多用した銭貨が散見できる。「星文」の付けられた位置、または「星文」の数、大きさ、銭面につけられた強弱、粗密さもさまざまであり、「五銖」の篆書文字がある面と何もない面(背という)ともに「星文」は付けられている場合がある。

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 上掲の画像は、「銖」の文字の上に「星文」がある。この星は、先端を尖らせた棒状の道具で丁寧に粘土鋳型(凹型)に付けたものである。しっかりと、星が刻まれていて鋳銭工員の戯興が伝わってくる。

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 上掲の銭貨画像は、「銖上星文・穿下半星文」である。「半星」は官製の鋳型の模様であるが、場合によっては官製の「半星」を更に強調すべく道具で印付けしていることもある。この銭貨も若干鋳銭工員の戯技が加わっている気もする。

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  次の銭貨は、「銖上」に「星文」があるが、星が上にゆきすぎて「輪」の際までいっている例である。精緻な銭面からすると「出来星」である可能性は低い感じがあり、これも戯技のひとつと見てよいと思う。